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最近、建築家の中村好文(なかむらよしふみ)さんの本にハマっています。

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きっかけは『普通の住宅、普通の別荘』という本の中に書いてある話がとても共感できたからです。

話の内容をちょっと紹介させて頂きます。

 

クライアントが中村さんに宛てた建築要望書の中に、中村さんさんがこれまで無意識のうちに目指していたにもかかわらず、その言葉を的確に表現できずにもどかしく感じていたことを見事に表現した言葉があった、という話です。

中村さんはその手紙を読んだ時に、胸の中に垂れ込めていた霧が晴れ、暖かい陽の光が差してきたような想いにとらわれたと書いています。

 

そのクライアントからの手紙の内容を本から抜粋します。

 

「正確にはなんという言葉か知らないんですが、スウェーデン語で日常よく使う形容詞があるそうです。それはひとことで「普通でちょうどいい」という意味の肯定的なホメ言葉なんだそうです。日本語の「普通」には否定的なニュアンスもありますが、そうではなくて「普通」が肯定的な言葉だというのがいいですね。私が欲しいのは、たぶんそんな家だと思うんです」

 

ちなみにそのスウェーデン語は「Enkel」という言葉で、中村さんはそのクライアントの家に感謝の意を込めて「Enkel House」と名付けたそうです。

 

実は私も、過剰なことに対して違和感を感じるようになっていたので、この話を読んだ時に「あぁ、そういうことか」とスッキリした気持ちになり、中村さんの家づくりに対して興味を持つようになったのです。

 

もうひとつ中村さんとクライアントのやり取りを紹介しましょう。

 

五十嵐威暢さんという著名な彫刻家・デザイナーから依頼があったときの話です。

 

中村さんは目覚ましい活躍をされていた五十嵐さんから依頼を受けた時に、「白羽の矢が立つ」とか「抜擢」という言葉が思い浮かび、柄にもなく緊張してしまった、と書いています。

そして、中村さんさんは設計に取りかかる前に、当時ロサンゼルスに済んでいた五十嵐さんの住まいと暮らしぶりを見に行きました。

五十嵐さんの家は彼方に太平洋を見晴らす高級住宅地の高台にあり、ゆったりと広く、隅々までキチンと整理整頓され、所帯じみた感じのまったくない美しい住まいだったそうです。

そこで中村さんは、ケーススタディハウス的なカッコ良さを意識した家の設計案を出したところ、五十嵐さんにやんわりと突き返されてしまいます。

 

以下抜粋

 

「ナカムラさん、ぼくはね、もうカッコのいい家はいらないんですよ。そういう家は、日本でもロスでもさんざんやってきましたからね・・・」

 ありゃ?、ありゃりゃ?先ほど私は、「どういう風の吹き回しだったかわかりませんが・・・・」と書きましたが、五十嵐さんの中で「カッコいいものはいらないから、ナカムラに」という「風の吹き回し」があったわけです。この「抜擢」を喜ぶべきか、悲しむべきか・・・・それが問題でした。

 

グラフィックデザイン、彫刻の創作活動で活躍してきたデザイナーが、「普通でちょうどいい住宅」を目標にしてきた建築家に最終的な住まいを依頼するなんて興味深い話ですよね。

 

ただ、「普通でちょうどいい」のって難しいですよね。

普段の生活の中で購入する物を、普通でちょうどいいものにしようとしても、品質が悪すぎるとお金の無駄になってしまうし、高級すぎても過剰に感じてしまう。

 

バランスの良い感性を身につけたいなと感じる日々です。

株式会社p.c.c.

フロントエンドの下請け・請負制作をはじめ、多数のウェブコンテンツを自社で企画・制作・運営している会社です。企業の外部ウェブ担当として顧問契約も行っています。